近距離で味わう馬の祭りはちょっと別格

備品を運ぶ手伝いから始まった体験は、思いがけず熱気と緊張に満ちていた。大きな台車に木製的を載せ、合図に合わせながら歩調を揃えると、地面が足裏を静かに刺激する。

鹿児島県の馬の祭りで初めて出会った射手達を見送りつつ、一瞬だけでも風を切り駆け抜けるような感覚を追い求めた。

「ここをもう少し右へ」声に導かれ視線を上げると、白い装束を纏ったライダーが腰を据えてる。

背筋が凜とした佇まいに、思わず息を呑む。革製手綱を握る、鐙を踏み込む確かな力強さ。手伝いする合間に、ふと間近で感じる動きは、観客席じゃ味わえませんね。

休憩時間には、地元スタッフが振る舞う煮しめや、味噌おにぎりを頬張り、汗ばむ顔を拭いつつ語り合う。味噌がもつ甘さと、干し椎茸が出すコクは最高。

鹿児島県の馬の祭りが始まり、台座を組み立てる作業はひと段落。最終盤を迎える頃には、呼吸までが行路の一部に思えた。微かな風圧と砂埃が頬を撫で、差し伸べれば届きそうなほど、高い臨場感へ浸る。

まだ体中に残る振動がじんわり心地良く、鹿児島県の馬の祭りは忘れがたい。これほど近距離で体験出来る機会は、滅多にないから余計にね。